塩谷亮 - 刻を描くリアリズム

塩谷 亮Ryo Shiotani刻を描くリアリズム
2026年1月8日 〜 2月15日
佐藤美術館(東京)
ごあいさつ
現代写実絵画の第一線で活躍する画家・塩谷亮(1975 年生)による初の大規模回顧展を開催いたします。
幼い頃から祖父の影響で美術に親しみ、なかでも11 歳の時に見た松本竣介の《Y 市の橋》に強く心を動かされました。油彩画の魅力に惹かれた中学時代を経て、武蔵野美術大学油絵学科に入学した塩谷は、絵画の造形研究に情熱を注ぎます。卒業後は文化庁新進芸術家海外研修員としてイタリアで研鑽を積み、その透徹した写実力は瞬く間に注目を集め、やがて訪れる写実絵画の再評価の潮流とともに、写実界の中心的存在となっていきます。
塩谷の目指す絵画表現は、単なる「写し取り」ではなく対象を深く見つめ、古典技法を土台に、気配や空気感といった目に見えないものを描き出すことにあります。人物や風景、静物に至るまで、すべてのモティーフに丁寧に向き合い、その背後にある自然観をキャンバスに結晶させていく。その姿勢は、万物に魂が宿るとする「アニミズム」の精神とも響き合っています。
本展では5 歳で描いた絵から高校・大学時代の習作、デビュー以降の代表作、最新作まで約50 点を一堂に展観します。さらにアトリエの再現や公開制作も行うことで、写実絵画の創作の現場に迫ります。デジタル化が進む現代だからこそ、修練を積んだ手わざでしか捉え得ない存在の神秘や生命の息づかいを、是非この機会にご堪能ください。
見どころ
描き下ろし最新作3点と、時代の空気や内面に迫る人間像
油絵画家として道標になった代表作や表現探究の過程
アトリエ再現と、会期中継続して行うライブペインティング!
展覧会構成
6つの章で辿る画家の軌跡と創作の変遷
刻を描く
戦争やパンデミックという現代の混乱の中でも、変わらない人間の尊厳と生きる実感を描き続ける。時代を映しながらも、個人の内面に深く寄り添った近年の作品群。

《ウクライナの少女》2023
65.2 × 65.2 cm | 油彩、板
気を描く
目には見えない「気配」や「空気感」を、いかにして画面に写し取るか。形や色彩を超えた、移りゆく感情と時の流れを描く塩谷特有の抒情性に迫る。
《花韻》2025
72.7 × 50.0 cm | 油彩、板
初期作品
少年時代から絵画を愛した青年の出発点。オランダ絵画に影響を受けた高校時代から美術大学での形成期まで、画家としての基礎を築いた貴重な作品群。

《静物習作》1992
80.3 × 100.0 cm | 油彩、キャンバス
揺らぎの中で
美術大学卒業後、三次元空間の再現に新たな視点から挑む。平面的な構成や、ダブルイメージを用いた作品など、表現の可能性を探求した転換点の作品群。

《朝の情景》2001年
194.0 × 162.0 cm | 油彩、キャンバス
東洋と西洋
イタリア留学を経て「日本人が描くリアリティとは何か」を深く探求。自然信仰の象徴・那智の滝を描いた代表作を中心に、東西の精神性や様式美が融合した作品群。
《一の滝》2017年
227.3 × 112.0cm | 油彩、キャンバス
絵の生まれる場所
創作の秘密に迫る特別展示。アトリエ再現と公開制作により、スケッチから完成まで、解剖図から古典技法研究まで、塩谷リアリズムが生まれる現場を体験する。

《Dariaの解剖図》2021年
29.7 × 21.0cm | 鉛筆、紙
特別イベント

アトリエ再現展示
画家の制作現場を再現。スケッチから完成作まで、創作プロセスの全貌をご覧いただけます。

ライブペインティング
人物モデルを前にして作家がその場で絵を描く特別企画。画家の筆遣いや色彩選択の瞬間を目の前で体験できます。

アーティスト・トーク
作家本人が作品や制作について気軽にお話しします。創作の背景や技法について直接お聞きいただく貴重な機会です。
開催概要
(入場は閉館の15分前まで)
アクセス・交通案内
住所
最寄り駅からのアクセス
プロフィール
塩谷亮
Ryo Shiotani
個展も精力的に開催しており、2004 年彩鳳堂画廊、2008 年日本橋三越、2017 年Bunkamura Gallery などで作品を発表。2024 年には第77 回二紀展にて田村孝之介賞を受賞。
著書に『塩谷亮画集』(求龍堂)、『塩谷亮の写実絵画教本』(芸術新聞社)などがある。
パブリックコレクション
ホキ美術館、長谷川町子美術館、鶴の来る町ミュージアム、佐藤美術館ほか